側弯症で「コブ角が短期間で大きく変わった」と言われたときに知っておいてほしいこと
投稿日:2026年1月26日 / 最終更新日:2026年1月26日
― レントゲン評価と誤解が生じやすいポイント ―
はじめに
側弯症についてインターネットで調べていると、
「整体でコブ角が10°以上改善した」
「短期間で背骨が真っすぐになった」
といった情報を目にすることがあります。
数字だけを見ると希望が持てる一方で、
「本当にそんなことが起こるのだろうか?」
「自分の場合はどう判断すればいいのか?」
と、戸惑いや不安を感じる方も少なくありません。
このページでは、
整体院・整骨院の立場からできること、できないことを明確にしたうえで、
・コブ角が大きく変化して見える理由
・誤解が生じやすいポイント
・数字とどう向き合えばよいのか
実際の症例も交えながら整理してお伝えします。
まず大切な前提:側弯症のコブ角と診断は医療の領域です
最初に、非常に重要な前提があります。
・側弯症の診断
・コブ角の測定
・装具や手術の判断
これらはすべて医師が行う医療行為です。
整体・整骨院では、
レントゲン撮影や数値評価を行うことはできません。
コブ角の評価や経過観察については、
必ず医療機関で行う必要があります。
この線引きは、とても大切です。
それでも整体・整骨院に相談が寄せられる理由
一方で、側弯症の方から整体・整骨院に相談が寄せられるのも事実です。
実際によく聞く声として、
・痛みやコリがつらい
・姿勢の左右差が気になる
・将来悪化しないか不安
・「経過観察」と言われたが、何をすればいいか分からない
といったものがあります。
これらは、日常生活上の困りごとです。
現代医療だけでは、
こうした部分に十分対応しきれない場面もあります。
ですから、
整体院や整骨院がサポートできる領域は存在すると私たちは考えています。
コブ角は「絶対的な数字」ではありません
【コブ角は撮影条件や姿勢で大きく変わることがある】
結論からお伝えすると、
コブ角は撮影時の条件によって10°以上変わって見えることがあります。
特に影響するのは、次のような点です。
・撮影時の立ち方(前回と同じかどうか)
・猫背で丸くなっているか、背筋を伸ばしているか
・骨盤や腰椎の前弯が保たれているか
・筋緊張の強さ
・同じ測定者・同じ測定部位かどうか
・成長期かどうか
とくに成長期の子どもは背骨・筋肉・靭帯が柔らかく、
姿勢の影響を非常に受けやすいため、
数値のブレが大きくなりやすい傾向があります。
【医療現場でも「5°程度の誤差」は想定されています】
医療の現場では、
コブ角には約5°程度の誤差が生じることがあるという認識があります。
しかし、ここで重要なのは、
・医療側にとっての「5°」
・患者さんにとっての「5°」
この重みが、まったく違うという点です。
患者さんにとっては、
・装具の適応になるかどうか
・経過観察でよいのか
・進行と判断されるのか
といった、人生に関わる判断につながる数字です。
だからこそ、
数字を軽く扱ってはいけませんし、
一喜一憂しすぎる必要もありません。
なお、短期間で数値が悪化した場合には、
「誤差の可能性」だけで判断せず、
必ず医療機関での再評価や経過確認を行うことが重要です。
「短期間で大きく改善した」本当に?
「数週間で10°以上変わった」
「短期間で大きく改善したと言われた」
こうしたケースの多くは、
短期間で構造が大きく変わったというよりも、
・撮影時の姿勢差
・測定条件の違い
・筋緊張や柔軟性の変化
によって、
見え方が変わった可能性を考える必要があります。
短期間で劇的にコブ角が改善することは、
現実的には非常に稀です。
当院で実際にあった、誤解されやすい症例
ここで、コブ角の数値変化について誤解が生じやすかった、
実際に当院で経験した症例をご紹介します。
【症例概要】
中学2年生
学校検診
⇒ コブ角23°、側弯症の疑いで要精査
約2カ月後、整形外科の側弯症外来を受診
⇒ コブ角8°のため経過観察との診断
ご家族は、何も対策をしていないのに、
「たった2カ月で15°も改善するのか?」
「最初の検診が間違いだったのでは?」
と疑問を持たれ、当院に相談に来られました。
【当院での初見評価】
当院では、数値だけでなく身体全体を評価します。
・胸椎のATR:9°
・背骨の触診で明らかな左右差
・見た目の姿勢の歪み
・腰椎前弯が消失した強い猫背姿勢
これらの所見から、
「コブ角8°という数値は、身体所見と一致しない可能性がある」
と判断しました。
その後の経過
ゲンシンゲン装具の選択肢も含めて、
シュロスベストプラクティスジャパンを紹介
約2週間後、医療機関で再度レントゲン撮影
⇒ コブ角17°
※この間はシュロス法の運動療法と姿勢指導を実施。
現在は、シュロス法を継続しています。
【この症例から分かること】
この症例では、短期間に
23° ⇒ 8° ⇒ 17°
という数値の変化が見られました。
しかしこれは、
短期間で背骨の構造が大きく改善したということではなく、
撮影条件や撮影時の姿勢によって、
コブ角が大きく変わって見えた可能性を示しています。
特に成長期では、
10°以上の差が生じても不思議ではありません。
最後に
整体院・整骨院の役割は、
・身体の状態を丁寧に評価する
・姿勢や動作、生活の質を支える
・医療と連携し、判断材料を増やす
ことだと考えています。
コブ角は、側弯症を評価する上で重要な指標です。
しかし、それがすべてではありません。
数字だけに振り回されず、身体の状態と、
日々の生活の中で起きていることを、総合的に見ていくこと。
それが、
後悔の少ない選択につながると、私たちは考えています。
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著者プロフィール 伊集院 博
兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務め、院内にマシンピラティススタジオの併設、保育士在籍の託児所を併設するなど、独自のスタイルで運営している。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
ミッションは『笑顔の輪が広がる』。一人一人の患者様の笑顔を大切に、そして家族や地域に笑顔の輪が広がる活動を行っております。
主な資格と実績
- 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- ケアマネージャー
- シュロスベストプラクティスⓇ
(側弯症運動療法の資格) - 側弯症ピラティスインストラクター
- BESJ認定ピラティストレーナー
- BTA認定バレエダンサートレーナー
- ハワイ大学解剖実習終了
- 治療家大學技術講師就任








