特発性側弯症の原因と弯曲メカニズムを正しく理解する

投稿日:2026年1月19日 / 最終更新日:2026年1月21日

側弯症は

「原因不明の病気」

「姿勢が悪いから」

「成長期の動作のクセ」

といったイメージを持たれる方が少なくありません。

しかし、特発性側弯症は決して“原因不明”の病気ではありません。

近年の研究により、特発性側弯症の本質は遺伝子レベルの異常であり、

そこから背骨の成長バランスが崩れることで弯曲が形成されることが分かってきています。

今回のブログ記事では、

・特発性側弯症とは何か

・なぜ背骨は曲がっていくのか

・椎体の楔状変形はどのように生じるのか

・胸椎・腰椎で弯曲の仕方がなぜ違うのか

これらを構造とメカニズムの視点から、できる限り分かりやすく解説します。

特発性側弯症とは

側弯症全体の約80%を占めるのが特発性側弯症です。

「特発性」とは、かつては原因が特定できないという意味で使われていました。

発症時期によって、以下の3つに分類されます。

・乳幼児期側弯症:3歳以前に発症

・学童期側弯症:4〜9歳に発症

・思春期側弯症:10歳以降に発症

この中で最も多いのが思春期側弯症で、圧倒的に女子に多く見られます。

また、弯曲の出現部位や向き、回旋パターンにも一定の共通性があり、偶然に起きているわけではないことが分かります。

 

特発性側弯症の原因は「遺伝子」

以前は「原因不明」とされてきた特発性側弯症ですが、現在では遺伝子が原因であることが明確になっています。

側弯症に関与するとされる遺伝子は、研究報告上20種類以上存在し、その中でも特に重要なのがLBX1遺伝子です。

重要なポイントはここです。

・側弯症は遺伝子疾患である

・ただし遺伝性疾患(必ず遺伝する)ではない

・家族に側弯症の方がいる場合、発症リスクは上がる

つまり、「姿勢が悪かったから」「運動不足だから」

などによって起きた病気ではありません。

遺伝子はどのように側弯症を引き起こすのか

LBX1遺伝子に突然変異が起こると、次のような連鎖反応が生じます。

1.細胞死(アポトーシス)の誘導

2.椎間板軟骨細胞・終板軟骨細胞が減少

3.終板軟骨が椎間板を十分に支えられなくなる

4.椎体・椎間板に過剰な機械的ストレスが集中

5.細胞接着に関わるインテグリンが減少

6.構造的な不安定性が進行

7.側弯症が形成される

この変化は背骨の片側だけに起こるのが特徴です。

その結果、左右で成長速度に差が生まれ、背骨が傾き始めます。

椎骨(椎体)の楔状変形とは【重要】

側弯症を理解するうえで欠かせないのが、椎体の楔状(くさび状)変形です。

楔状変形とは、

椎体の一方が高く、反対側が低くなる変形を指します。

側弯症では、最初から骨が変形しているわけではありません。

はじめに起こるのは、椎間板や終板軟骨の成長障害です。

成長期の背骨は、椎体と椎間板がバランスよく縦方向に成長することで形を保ちます。

しかし遺伝子異常により、片側の椎間板が十分に成長できなくなると、

・成長できない側:高さが低い

・成長する側:高さが保たれる

という左右差が生まれます。

この状態が続くと、

上からの体重や日常動作による圧縮ストレスが、成長できない側に集中します。

すると、まだ柔らかい成長期の骨は、

「傾いた状態で固まっていく」

という現象を起こします。

これが、椎体そのものが楔状に変形していくプロセスです。

一度楔状変形が形成されると、

背骨は「曲がりやすい構造」から「曲がらざるを得ない構造」へと変わります。

つまり、

弯曲 → 楔状変形 → さらに弯曲

という悪循環が完成してしまうのです。

側弯症の弯曲メカニズム【胸椎】

胸椎側弯症では、以下の特徴が見られます。

・椎体が腹側(前方)へ移動

・胸椎後弯が減少し、S字カーブが平坦化

・椎体は右側方移動が多い

・右側方移動に伴い右回旋が生じる

・回旋軸は椎体の中心

側弯症の弯曲メカニズム【腰椎】

腰椎側弯症では胸椎と逆の特徴を示します。

・椎体が背側(後方)へ移動

・腰椎前弯が減少

・椎体は左側方移動が多い

・左側方移動に伴い左回旋

・回旋軸は椎弓の中心

シングルカーブとダブルカーブ

・胸椎または腰椎のみ:シングルカーブ

・胸椎+腰椎:ダブルカーブ

・胸腰椎移行部をまたぐ大きな弯曲:胸腰椎シングルカーブ

弯曲パターンによって、保存療法の戦略は大きく変わります。

まとめ:正しい理解が最善の選択につながる

・側弯症は原因不明の病気ではない

・原因は遺伝子異常である

・片側の椎間板成長障害が弯曲を生む

・弯曲は椎体の楔状変形を引き起こす

・特発性側弯症は簡単に治るものではない

だからこそ保存療法では、

遺伝子異常によって曲がろうとする力を抑え、

逆方向へ構造的に誘導することが求められます。

現在、世界的に最もエビデンスが多い保存療法は、

シュロス法による運動療法と、ゲンシンゲン装具の併用です。

正しい情報を知ることが、

将来の選択肢と可能性を守る第一歩になります。

 

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著者プロフィール 伊集院 博

兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務め、院内にマシンピラティススタジオの併設、保育士在籍の託児所を併設するなど、独自のスタイルで運営している。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
ミッションは『笑顔の輪が広がる』。一人一人の患者様の笑顔を大切に、そして家族や地域に笑顔の輪が広がる活動を行っております。

主な資格と実績

  • 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
  • 柔道整復師(国家資格)
  • 鍼灸師(国家資格)
  • ケアマネージャー
  • シュロスベストプラクティスⓇ
    (側弯症運動療法の資格)
  • 側弯症ピラティスインストラクター
  • BESJ認定ピラティストレーナー
  • BTA認定バレエダンサートレーナー
  • ハワイ大学解剖実習終了
  • 治療家大學技術講師就任
ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン

院長の伊集院が姿勢の問題を抱える女性に向けた著書

「ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン」を出版。

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