大人の側弯症が人生で悪化しやすい6つのタイミング
投稿日:2026年1月23日 / 最終更新日:2026年1月23日
― なぜその時期に進行しやすいのか ―
大人の側弯症は、「ある日突然」急激に悪化する病気ではありません。
多くの場合、人生の節目となるタイミングで、少しずつ、しかし確実に変化していきます。
「若い頃から側弯症はあったけれど、最近つらくなってきた」
「昔よりも痛みや違和感が増えている気がする」
こうした声は、実はとてもよく聞かれます。
本記事では、臨床現場で特に多くみられる
大人の側弯症が悪化しやすい6つのタイミングについて、
その理由と身体に起こっている変化を、分かりやすく解説していきます。
大人の側弯症が悪化しやすい共通メカニズム
大人の側弯症が進行しやすくなる背景には、いくつかの共通点があります。
・ホルモンバランスの変化
・筋力低下(特に姿勢を支える抗重力筋)
・日常生活での姿勢の固定化
・背骨の前後カーブが減少し、フラット化する
これらが重なったとき、背骨は本来の安定性を失い、
側弯症のカーブが進行しやすい状態になります。
つまり、人生の変化=身体環境の変化が、
側弯症の進行リスクを高めているのです。
悪化しやすいタイミング① 妊娠期
妊娠期は、女性の身体にとって非常に大きな変化が起こる時期です。
妊娠中はリラキシンというホルモンの影響で、
関節や靱帯が緩みやすくなります。
さらに、
・お腹が前に出ることで重心が前方へ移動する
・腰椎のロードシス(前弯)が変化する
・胸郭の動きが制限されやすくなる
といった変化が同時に起こります。
これらはすべて、側弯症のある背骨にとっては不安定要素となり、
妊娠をきっかけに違和感や痛みが増える方も少なくありません。
悪化しやすいタイミング② 産後・育児期(特に乳幼児期)
臨床的にみて、最も側弯症の相談が多いのが産後・育児期です。
産後の身体は、見た目以上にまだ回復途中の状態にあります。
・筋力が十分に戻っていない
・骨盤や体幹が不安定
・睡眠不足が慢性的に続く
このような状態のまま、
・抱っこ
・授乳
・前かがみの姿勢(おむつ替えや沐浴など)
といった動作を、毎日何度も繰り返すことになります。
特に、左右どちらかに偏った抱っこ姿勢や、
前屈みの姿勢が続く育児動作は、
側弯症のカーブを構造的に助長しやすい条件がそろっています。
さらに側弯症のある方は、
自分のカーブ方向へ体を傾けた方が楽に感じやすいという特徴があります。
そのため無意識のうちに、
側弯症が悪化しやすい姿勢を自然と取り続けてしまいがちです。
「産後から一気に症状が悪化した」と感じる方が多いのは、
産後特有の身体の不安定さと、
日常的に繰り返される育児姿勢が重なっているためです。
悪化しやすいタイミング③ 社会人になってからのデスクワーク期
学生時代には特に問題を感じなかった方でも、
社会人になってから症状を自覚し始めるケースは非常に多くあります。
原因の多くは、
・長時間の座り姿勢
・猫背姿勢の固定
・背骨のフラット化
です。
デスクワークが続くと、猫背姿勢が固定化し、
背骨の前後カーブが減少するため、背骨のフラット化が起こりやすくなります。
そして、姿勢を支える筋力も低下していきます。
「気づいたら背中が丸くなっている」
「夕方になると腰や背中がつらい」
こうしたサインは、側弯症が進行しやすい状態に入っている可能性を示しています。
悪化しやすいタイミング④ 運動をやめたタイミング
学生時代に運動やスポーツをしていた方ほど、
運動をやめた後に症状が目立つことがあります。
運動をやめることで、
・体幹支持力が低下する
・姿勢制御能力が落ちる
その結果、これまで筋力で支えられていたため、目立たなかった側弯症のカーブが、
症状や見た目として現れやすくなります。
悪化しやすいタイミング⑤ 閉経後
閉経後は、女性の身体にとってもう一つの大きな転換期です。
エストロゲンの低下により、
・骨密度が低下する
・骨粗鬆症の発症
・筋力が落ちやすくなる
・円背や姿勢の崩れが進行しやすくなる
といった変化が起こります。
背骨の前後カーブが崩れ、
フラット化や円背が進行すると、
側弯症のカーブも不安定になりやすくなります。
この時期は、痛みや変形がはっきりと進行するケースが非常に多くみられます。
悪化しやすいタイミング⑥ 生活環境が大きく変わったとき
側弯症は、生活リズムや姿勢が大きく変わったときにも影響を受けます。
例えば、
・在宅ワークの開始
・介護が始まった
・引っ越しや通勤時間の変化
こうした環境の変化により、
・動く量が減る
・同じ姿勢が固定される
と、背骨への負担が一気に増えることがあります。
自覚がないまま進行してしまうケースも多いため、注意が必要です。
まとめ:悪化するタイミングを知ることが最大の予防になる
大人の側弯症は、
悪化しやすいタイミングがある程度予測できる病気です。
人生の節目で身体環境が変わるときこそ、
背骨の状態を見直すチャンスでもあります。
・姿勢
・運動
・生活習慣
これらを正しく整えることで、
大人の側弯症であっても、進行を抑えることは十分に可能です。
「年齢のせいだから仕方ない」と諦めてしまう前に、
ぜひ一度、ご自身の身体と丁寧に向き合ってみてください。
側弯症は、一人で抱え込む必要はありません。
不安や疑問がある場合は、早めに専門家へ相談することが大切です。
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著者プロフィール 伊集院 博
兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務め、院内にマシンピラティススタジオの併設、保育士在籍の託児所を併設するなど、独自のスタイルで運営している。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
ミッションは『笑顔の輪が広がる』。一人一人の患者様の笑顔を大切に、そして家族や地域に笑顔の輪が広がる活動を行っております。
主な資格と実績
- 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- ケアマネージャー
- シュロスベストプラクティスⓇ
(側弯症運動療法の資格) - 側弯症ピラティスインストラクター
- BESJ認定ピラティストレーナー
- BTA認定バレエダンサートレーナー
- ハワイ大学解剖実習終了
- 治療家大學技術講師就任








