側弯症を悪化させないための日常生活の姿勢
投稿日:2026年1月22日 / 最終更新日:2026年1月23日
― ロードシスと胸郭を意識した正しい体の使い方 ―
側弯症というと、
「どんな治療を受けるか」
「どんな運動をするか」
に注目が集まりがちです。
しかし実際には、治療や運動の時間よりも、日常生活の姿勢の方が圧倒的に長いという事実があります。
1日のうち、施術や運動に使う時間はせいぜい1時間前後です。
残りの23時間は、座る・立つ・歩く・寝るといった日常生活の姿勢で過ごしています。
この「何気ない姿勢の積み重ね」が、背骨の形に大きな影響を与えます。
日常生活の姿勢がそのまま背骨の形として固定されやすいため、より注意が必要です。
なぜ日常生活の姿勢が側弯症に影響するのか
【側弯症は「治療時間」より「生活時間」の影響が大きい】
側弯症は、背骨が横に曲がるだけの病気ではありません。
実際には、
・横方向の弯曲
・背骨の回旋(ねじれ)
・前後カーブの変化
を伴う、三次元的な変形です。
そのため、短時間の運動や施術だけでなく、
日常的にどのような姿勢で体を使い続けているかが、
進行するか、安定するかに直結します。
「長時間続く姿勢が、背骨にどんな力をかけ続けているのか」
この視点を持つことが、側弯症では非常に重要です。
【猫背姿勢が背骨をフラット化させる理由】
腰や背中を丸くする、いわゆる猫背姿勢では、
・骨盤が後ろに倒れる
・背骨の生理的S字カーブが減少する
・背骨が平らに近づく(フラット化)
という状態が起こります。
背骨がフラット化すると、椎骨同士の適合性が緩み、
側弯症のカーブが進行しやすい構造になってしまいます。
この「背骨のフラット化」については、別のブログで詳しく解説していますが、
本記事では、では日常生活でどのような姿勢を取ればよいのかに焦点を当てて解説していきます。
👉 側弯症を進行させる重要な要因
「背骨のフラット化」とは?
今回のブログで前提とする側弯症のカーブパターン
【胸椎右凸・右回旋パターンについて】
今回の説明では、最も多い典型的な側弯症パターンである
「胸椎右凸・右回旋パターン」を前提とします。
このタイプでは、
・背骨(胸椎)が右にカーブする
・胸郭が右へ回旋する
・左の胸郭が潰れやすい
という特徴があります。
【左凸・左回旋タイプの方への注意】
少数ですが、「胸椎左凸・左回旋パターン」の場合は、
本記事の左右を逆に考えてください。
なお、これから出てくる「ロードシス(腰椎前弯)」の考え方は、
どのカーブパターンにも共通です。
自分のカーブタイプを理解したうえで実践することが大切です。
すべての姿勢に共通する2つの重要ポイント
【共通点①:背骨のロードシスを保つ】
ロードシスとは、腰椎の自然な前弯のことです。
これは「反る姿勢」ではなく、本来あるべき背骨のカーブです。
ロードシスが保たれていると、
・背骨全体の安定性が高まる
・フラット化を防げる
・側弯症の進行を抑える方向に働く
といったメリットがあります。
【共通点②:左の胸郭を広げる】
胸椎右凸パターンでは、左の胸郭が潰れやすくなります。
そのため日常生活では、
・左の胸郭に空間を作る
・呼吸が入りやすい状態を保つ
ことを意識します。
姿勢と呼吸は密接に関係しており、
胸郭の使い方は体幹バランスに大きく影響します。
椅子の座り方
【悪い姿勢】
・骨盤を後ろに倒す
・猫背
・みぞおちが引ける
この姿勢では、背骨がフラット化しやすくなります。
【良い姿勢】
・骨盤を立てる
・みぞおちを軽く前へ
・ロードシスをキープ
床の座り方
【悪い姿勢①:体育座り】
・骨盤後傾
・背骨が丸くなる
・呼吸が浅くなる
【悪い姿勢②:足を左に流す横座り】
・左胸郭がさらに潰れる
・側弯のカーブを助長しやすい
【良い姿勢】
・正座(ロードシスを保つ)
・あぐら(ロードシスを保つ)
※長時間の場合は、お尻の下にクッションを入れると
ロードシスを保ちやすくなります。
横になるときの姿勢(テレビやYouTubeを見る時)
【悪い姿勢】
・右側を下にして横になる
・左の胸郭が潰れやすい
【良い姿勢】
・左側を下にして横になる
・左の胸郭が広がる
※長時間の睡眠では同じ姿勢を保つことは困難です。
ここでの説明は、休息時の姿勢を想定しています。
立ち方
【悪い姿勢】
・猫背
・スウェイバック姿勢
・体を左に傾ける
・電車で右手で吊り輪を持つ(左胸郭が潰れる)
【良い姿勢】
・ロードシスを保つ
・左胸が広がる意識を持つ
・電車では左手で吊り輪を持つ(左胸郭が広がる)
歩き方
【悪い姿勢】
・猫背
・スウェイバック姿勢
【良い姿勢】
・ロードシスを意識
・頭が天井から引っ張られているイメージ
※まずは「ロードシスを保つ」意識から始めてください。
※シュロスベストプラクティス®では、歩き方のエクササイズ指導も行います。
まとめ:日常生活の姿勢が側弯症の未来を左右する
日常生活の姿勢は、
最も長い時間行われる「保存療法」とも言えます。
正しい姿勢を意識することで、
・側弯症の進行を抑える
・筋緊張や痛みを軽減する
・カーブが減少する可能性もある
といった効果が期待できます。
側弯症は「運動だけ」「治療だけ」で考えるものではありません。
生活の中でどう体を使うかが、将来を大きく左右します。
著者プロフィール 伊集院 博
兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務め、院内にマシンピラティススタジオの併設、保育士在籍の託児所を併設するなど、独自のスタイルで運営している。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
ミッションは『笑顔の輪が広がる』。一人一人の患者様の笑顔を大切に、そして家族や地域に笑顔の輪が広がる活動を行っております。
主な資格と実績
- 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- ケアマネージャー
- シュロスベストプラクティスⓇ
(側弯症運動療法の資格) - 側弯症ピラティスインストラクター
- BESJ認定ピラティストレーナー
- BTA認定バレエダンサートレーナー
- ハワイ大学解剖実習終了
- 治療家大學技術講師就任









