「整体で側弯症が治った」は本当?機能的側弯症と構築性側弯症を混同しないために
投稿日:2026年1月26日 / 最終更新日:2026年1月26日
― 側弯症の評価で誤解が生じやすいポイントを、整体・整骨院の立場から整理します ―
機能的側弯症と構築性側弯症の違い
もう一つ、側弯症に関して誤解が生じやすい重要なポイントがあります。
それが、機能的側弯症と構築性側弯症の違いです。
この2つは名前が似ていますが、
成り立ちも、意味も、対応もまったく異なる状態です。
【機能的側弯症とは】
・特徴
脊椎(背骨)そのものに構造的な異常はなく、
背骨以外の要因によって一時的に弯曲して見えている状態です。
・主な原因
・脚の長さの左右差(脚長差)
・腰痛や坐骨神経痛などの痛みによる逃避姿勢
・習慣的な不良姿勢や身体の使い方のクセ
・改善の考え方
原因となっている痛み・姿勢・脚長差などを取り除くことで、
弯曲は改善、あるいは消失します。
※機能的側弯症は「背骨そのものの病気」ではありません。
【構築性側弯症とは】
・特徴
脊椎自体がねじれ、椎骨の形状変化を伴っている
いわゆる「真の側弯症」です。
進行する可能性があり、
医学的な評価と経過観察、場合によっては治療が必要となります。
※本記事では「構築性(=構造性)側弯症」を、背骨そのもののねじれや形状変化を伴う“真の側弯症”として説明します。
【構築性側弯症の主な分類】
●特発性側弯症
・全体の約80%を占める最も多いタイプ
・原因不明とされてきましたが、近年は遺伝的要因の関与が示唆されています
・発症時期により分類され、思春期に発症するものが最も多い
一般的に「側弯症」と言われる多くは、思春期特発性側弯症を指します
●先天性側弯症
・生まれつき椎骨の形成異常や分離異常があるもの
●神経・筋原性側弯症
・脳性麻痺、筋ジストロフィーなど神経・筋疾患が原因で起こるもの
●その他の構築性側弯症
・神経線維腫症
・マルファン症候群などの結合組織疾患
・外傷、放射線治療後など
機能的側弯症と構築性側弯症は「まったく別物」
この2つを一言で表すと、次のように考えると分かりやすいです。
・機能的側弯症
→ 「一時的にできた影」
原因を取り除けば、影は消えます。
・構築性側弯症
→ 「影を作っている本人(脊椎)が歪んでいる状態」
放置すれば、進行するリスクがあります。
自分はどちらの可能性が高い?(※診断ではありません)
・痛み(腰痛・坐骨神経痛)と同時期に体が傾いてきた
・立ち方や姿勢を変えると左右差が大きく変わる
・脚長差が明らかにあると言われた
→ こうした場合は機能的要素が強いことがあります
一方で、
・前屈(アダムス前屈テスト)で肋骨の盛り上がり(リブハンプ)がはっきり出る
・姿勢を正しても左右差が残りやすい
・学校検診や整形外科で側弯を指摘された
→ こうした場合は構築性(構造性)の可能性があり、医療での評価が大切です。
この2つを混同すると起こる大きな誤解
機能的側弯症と構築性側弯症を区別せずに扱ってしまうと、
・「整体で側弯症が治った」
・「コブ角が劇的に改善した」
といった誤解が生まれやすくなります。
特に、**構築性側弯症(多くは思春期特発性側弯症)**に対して、
これらの表現が使われる場合は、慎重に見極める必要があります。
ネット上の情報に潜む落とし穴
側弯症専門をうたう一部の整体院・整骨院のWebサイトでは、
・機能的側弯症
・構築性側弯症
この2つを明確に区別せずに説明しているケースが少なくありません。
その結果、
構築性側弯症(多くは思春期特発性側弯症)が簡単に治るかのような誤解を招く表現が目立ちます。
治療院側が意図的かどうかは分かりませんが、
患者さん自身が正しい知識を持ち、冷静に判断することが非常に重要です。
もし本当に高い効果がある民間療法があるなら、なぜ世界で標準になっていないのでしょうか
もし、特発性側弯症を高い確率で改善できる手技が、再現性をもって存在するなら、
いずれは研究・検証の対象となり、臨床ガイドラインや学会でも議論されていくはずです。
それだけ側弯症は、長年にわたり世界中で研究され続けている領域であり、
情報を判断するときは「再現性」「検証」「透明性」を一つの基準にすることが大切です。
整体院・整骨院として大切にしたいスタンス
当院では、
・側弯症を診断する
・コブ角を改善したと断定する
といったことは行いません。
一方で、
・姿勢
・身体の使い方
・呼吸
・日常生活での負担
を整えることで、
・進行リスクに配慮した身体づくり
・痛みやコリの軽減
・動きやすさの向上
をサポートすることは可能だと考えています。
まとめ|数字だけで判断しないために
・機能的側弯症:背骨自体は正常で、原因(脚長差・痛み・姿勢)を整えると改善できる可能性が大きい
・構築性(構造性)側弯症:背骨のねじれ・形状変化を伴い、医療での評価と経過観察が基本
・2つの側弯症を混同すると「整体で治った」などの誤解が生じやすい
・民間領域は診断や数値の断定ではなく、姿勢・呼吸・生活負担の最適化で“支える”役割
最後に、
「機能的か構築性か」を自分だけで断定しないこと。
不安がある場合は、まず医療機関で評価を受けたうえで、生活・姿勢・運動で支える選択肢を検討することが安全です。
不安をあおる情報に振り回されるのではなく、
正しい理解と、冷静な判断が、
結果的に将来を守ることにつながります。
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著者プロフィール 伊集院 博
兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務め、院内にマシンピラティススタジオの併設、保育士在籍の託児所を併設するなど、独自のスタイルで運営している。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
ミッションは『笑顔の輪が広がる』。一人一人の患者様の笑顔を大切に、そして家族や地域に笑顔の輪が広がる活動を行っております。
主な資格と実績
- 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- ケアマネージャー
- シュロスベストプラクティスⓇ
(側弯症運動療法の資格) - 側弯症ピラティスインストラクター
- BESJ認定ピラティストレーナー
- BTA認定バレエダンサートレーナー
- ハワイ大学解剖実習終了
- 治療家大學技術講師就任








