猫背は“丸い姿勢”ではなく“前に落ちている”

投稿日:2026年2月23日 / 最終更新日:2026年2月24日

― ピラティスから考える“軸が前に落ちる”という視点 ―

猫背というと、多くの人がこう思っています。

「背中が丸い姿勢」

「だらしなく見える姿勢」

「意識すれば直せる姿勢」

だからこそ、

「背筋を伸ばそう」

「胸を張ろう」

「姿勢を正そう」

と努力します。

けれども、その姿勢は長く続かない。

少し気を抜くと、また元に戻ってしまう。

それはなぜでしょうか。

猫背は“意識の問題”ではない

猫背を「気のゆるみ」や「習慣の問題」だと思っている方は少なくありません。

ですが実際には、意識だけで姿勢を保つことはとても難しいことです。

背筋を伸ばそうとすると、

・肩が力む

・首が緊張する

・腰が反ってしまう

・すぐ疲れる

という感覚が出てきます。

つまり、姿勢を支える“土台”が整っていない状態で、

上半身から形だけを整えようとしているのです。

しかし、形は作れても、支えがなければ続きません。

猫背は「丸い」のではなく“落ちている”

猫背の人を横から見ると、背中が丸く見えます。

ですがよく観察すると、実際に起きているのは

・胸が下がっている

・みぞおちが落ちている

・頭が前に出ている

・全体がわずかに前へ傾いている

という変化です。

背中が後ろへ大きく膨らんでいるというよりも、

身体が前に“落ちている”。

縦に保てなくなり、重力に引かれるように前へ崩れている状態です。

猫背は「丸めている姿勢」ではなく、

「支えが抜けて前に落ちた姿勢」と言い換えることができます。

なぜ身体は前に落ちるのか

現代の生活は、ほとんどが“前方向”に向いています。

・パソコンの画面を見る

・スマートフォンを見る

・手元で作業をする

・前の相手と会話をする

視線も意識も、常に前へ向かっています。

その環境の中で、身体も少しずつ前へ前へと引き出されていきます。

気づかないうちに、

・胸は下がり

・首は前に出て

・背骨の長さは保てなくなっていきます。

これは怠けているからではありません。

そうなりやすい環境で生活しているからです。

胸を張っても解決しない理由

猫背を直そうとして、胸を張る方は多いでしょう。

確かに一瞬、姿勢はきれいに見えます。

しかしその状態を続けると、

・腰が反る

・肩が緊張する

・呼吸が浅くなる

といった別の問題が出てきます。

それは、前に落ちた身体を無理に後ろへ押し戻しているだけだからです。

前に崩れた支えはそのままの状態で、

方向を逆にしただけでは、本質は変わりません。

猫背と呼吸の関係

猫背の方の多くは、呼吸が浅くなっています。

胸が下がると、肋骨が十分に広がりにくくなります。

背中側にも空間がつくれなくなり、

呼吸が上へ上へと上がりやすくなります。

すると肩がすくみ、首が緊張し、

さらに前へ崩れやすくなります。

猫背は、背中の形だけの問題ではありません。

呼吸、重心、頭の位置、全身のバランスが関係しています。

必要なのは「伸ばすこと」ではない

猫背を整えるために必要なのは、

背中を反らせることでも、胸を強く張ることでもありません。

必要なのは、縦の支えを取り戻すことです。

背骨の長さを保ち、

頭の重さを縦に乗せられる状態。

力で作るのではなく、

自然に支えられる状態。

それが戻ると、背中は無理なく整います。

頑張らなくても、

結果として姿勢が変わります。

猫背は“背中の問題”ではない

猫背は、背筋や腹筋が弱いことが問題ではありません。

姿勢を保つ能力が失われているわけでもありません。

本来持っている支えの感覚が、

生活の中で少しずつ薄れていっただけです。

子どもが自然に立っている姿を見ると、

背中はつぶれていません。

本来、人は縦に保てる存在です。

ただ、今の生活環境の中で、その感覚を使いにくくなっているだけなのです。

ピラティスという視点

この“縦に保つ感覚”を思い出していく考え方の一つが、

ピラティスで大切にされているエロンゲーションです。

それは、無理に姿勢を作ることではありません。

背骨の長さを保ちながら、

身体の軸を縦に整えていくという視点です。

猫背を「丸い姿勢」と捉えるのではなく、

「軸が前に落ちた状態」と捉える。

視点が変わると、

アプローチも自然と変わります。

まとめ|猫背は“軸が落ちた姿勢”

猫背は、だらしなさでも、意識の問題でもありません。

身体の軸が縦に保てなくなり、

前へ落ちた状態です。

だからこそ、

丸めないように頑張るのではなく、

落ちた軸を静かに取り戻すこと。

そこから姿勢は、少しずつ自然に整っていきます。

まずは形を直そうとするのではなく、

身体の軸がどの方向へ崩れているのかを感じること。

その気づきこそが、変化の始まりになります。

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著者プロフィール 伊集院 博

兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務め、院内にマシンピラティススタジオの併設、保育士在籍の託児所を併設するなど、独自のスタイルで運営している。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
ミッションは『笑顔の輪が広がる』。一人一人の患者様の笑顔を大切に、そして家族や地域に笑顔の輪が広がる活動を行っております。

主な資格と実績

  • 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
  • 柔道整復師(国家資格)
  • 鍼灸師(国家資格)
  • ケアマネージャー
  • シュロスベストプラクティスⓇ
    (側弯症運動療法の資格)
  • 側弯症ピラティスインストラクター
  • BESJ認定ピラティストレーナー
  • BTA認定バレエダンサートレーナー
  • ハワイ大学解剖実習終了
  • 治療家大學技術講師就任
ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン

院長の伊集院が姿勢の問題を抱える女性に向けた著書

「ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン」を出版。

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