なぜストレッチだけでは姿勢は整わないのか?
投稿日:2026年2月24日 / 最終更新日:2026年2月24日
― ピラティスから考える“柔らかさと支え”という視点 ―
「猫背だから背中を伸ばしています」
「反り腰対策でストレッチを続けています」
「ヨガにも通っていて、身体は柔らかい方です」
それでも姿勢がなかなか整わない。
そんな方は少なくありません。
ストレッチは悪いものではありません。
身体が軽くなったり、気持ちよさを感じたりすることもあります。
けれど、姿勢を整えるという目的で考えたとき、
ストレッチだけでは足りない場合があります。
ストレッチの役割は「広げる」こと
ストレッチは、硬くなった筋肉をゆるめ、
動ける範囲を広げるためのものです。
動きやすさを取り戻すという意味では、とても大切です。
ただし、姿勢を保つために必要なのは
「動ける範囲」だけではありません。
姿勢とは、
重力に対して身体を保つこと。
そこに必要なのは「支え」です。
柔らかいのに姿勢が崩れる人がいる
実際に、
・前屈で両手が床にべったりつく
・股関節の開脚もできる
・ヨガを長年続けている
それでも猫背や反り腰がある、という方がいます。
なかには、
いわゆる「スウェイバック姿勢」になっている方も少なくありません。
スウェイバック姿勢とは、
骨盤が前に移動し、
上半身が後ろに倒れ、
頭が前に出る姿勢です。
一見、力が抜けていて“楽そう”に見えます。
実際、柔らかい方に多い姿勢でもあります。
けれどこれは、
「きれいに伸びている姿勢」ではありません。
支えが弱く、
骨盤や股関節の前面に寄りかかっている状態です。
柔らかい=安定している、ではない
身体が柔らかいこと自体は悪いことではありません。
ただ、柔らかさと安定は別の話です。
関節が大きく動く人は、
その分、筋肉で支える必要があります。
もし支えが弱いまま可動域だけが広がっていると、
・疲れやすい
・姿勢が崩れやすい
・肩や腰に負担がかかりやすい
ということが起こります。
全身関節弛緩性という体の特徴
全身関節弛緩性は、
女性で、子どものころから身体が柔らかい方に多く見られます。
「昔から姿勢が悪いと言われていた」
「若いころから肩こりがあった」
そんな声もよく聞きます。
こうした背景の一つに、
全身関節弛緩性と呼ばれる体の特徴があります。
関節の可動域が一般より大きい状態を指す言葉ですが、
柔らかさがある分、安定を作る力がより必要になるケースがあります。
関節がよく動くことと、
姿勢を安定して保てることは、必ずしも同じではありません。
そのため、柔らかい人ほど
「伸ばす」よりも「支える」視点が大切になることがあります。
なぜストレッチをしても戻るのか
支えが弱い状態でストレッチを繰り返すと、
可動域はさらに広がります。
けれど、支えは育ちません。
すると身体はどうするか。
楽なところに寄りかかります。
骨盤を前に出す。
肋骨を前に開く。
腰で踏ん張る。
それが、
猫背や反り腰、
スウェイバック姿勢として現れることがあります。
ストレッチをしているのに姿勢が整わないのは、
柔らかさが足りないからではなく、
支えが足りないからかもしれません。
姿勢に必要なのは「支える力」
姿勢を整えるために必要なのは、
・どこで支えるのか
・どう重さを受け止めるのか
・どう力を抜くのか
というコントロールです。
身体を柔らかくすることよりも、
身体の軸を「保てる」ことが大切です。
ストレッチと対立するわけではない
ストレッチが不要だというわけではありません。
硬さが強い部分には、
ゆるめることも必要です。
ただし、
広げるだけでは足りない。
広げた分を、
どう支えるか。
そこまで考えてはじめて、
姿勢は変わり始めます。
身体が柔らかい方ほど支えを学ぶという視点
ピラティスで大切にされるのは、
・背骨の長さを保つこと
・重力に対して支えること
・余計な力を抜くこと
柔らかくするよりも、
「安定させる」ことに重きを置きます。
特に、身体が柔らかい方ほど、
筋肉を伸ばすことよりも、
身体の支え方を学ぶことが大切です。
まとめ
ストレッチは大切です。
けれど、姿勢は
柔らかさだけでは整いません。
身体は柔らかいのに猫背・巻き肩で肩こりがつらい。
ヨガをしているのに反り腰で腰痛がつらい。
それは、
「支え」が不足しているサインかもしれません。
姿勢を整えるとは、
身体を伸ばすことではなく、
身体の軸を保てること。
柔軟性と安定性。
その両方がそろったとき、
姿勢は自然に、無理なく整っていきます。
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著者プロフィール 伊集院 博
兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務め、院内にマシンピラティススタジオの併設、保育士在籍の託児所を併設するなど、独自のスタイルで運営している。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
ミッションは『笑顔の輪が広がる』。一人一人の患者様の笑顔を大切に、そして家族や地域に笑顔の輪が広がる活動を行っております。
主な資格と実績
- 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- ケアマネージャー
- シュロスベストプラクティスⓇ
(側弯症運動療法の資格) - 側弯症ピラティスインストラクター
- BESJ認定ピラティストレーナー
- BTA認定バレエダンサートレーナー
- ハワイ大学解剖実習終了
- 治療家大學技術講師就任








