ブログを更新しました。「バレエによる下肢の痛み、足部の痛み」

目次

下肢の機能障害、足部の痛みが起こりやすい理由

・原因1 足部の過回内(オーバープロネーション)

・原因2 膝下アンディオール

・原因3 無理なポワント立ち

・原因4 骨盤の後傾/過度な前傾

・原因5 体幹(腹部インナーユニット)が弱い

下肢の機能障害症状別の説明

・三角骨障害

・長母指屈筋腱炎

・アキレス腱炎

・足底腱膜炎

・有痛性外脛骨

・シンスプリント

・オスグッド病

・鵞足炎

・腸脛靭帯炎

・外反拇趾/内反小趾

・股関節周囲炎

当院の下肢機能障害、足部の痛みの治療方法


・股関節調整

・足関節、足根骨のアライメント調整

・高濃度酸素オイルマッサージ

・患部への鍼治療

・スーパーライザー光線治療

・ピラティスエクササイズ

・足部矯正用のインソール治療

下肢の機能障害が起こりやすい理由

 

バレエ障害の80%以上は下肢

 

バレエは足裏、踵、足趾、足首、アキレス腱、膝関節、股関節など下肢の機能障害を多く発症します。

 

その原因を海外の最新のエビデンスと私の考察との両方の観点から分かりやすく解説していきたいと思います。

 

 

 

原因1:足部の過回内

 

 

足部の過回内(オーバープロネーション)とは足を後ろ側から見てみると、踵が外を向いて内側縦アーチ(土踏まず)が潰れてしまい、指先が外を向いてしまう状態です。

日本人の7割以上が過回内だというデータもあります。

 

バレエをされている方は無理にアンディオールをしようとするので、足先と股関節の向きが合わなくなることが多くなるため過回内が一般の方と比べると多くなります。

 

過回内の足だとそうではない足と比べて膝下の筋肉、足首回りの筋肉や軟部組織がオーバーユース(使い過ぎ)になりやすくなってしまいます。

 

更には膝を屈曲(曲げる)する際にニーイン(膝が内側へ倒れこむ)の状態になりますので、股関節周りの筋肉もオーバーユース(使い過ぎ)になりやすくなってきます。

 

ですから足部の過回内の方はオーバーユースになりやすく下肢の機能障害が起こりやすい傾向にあると言えます。

 

 

原因2:膝下アンディオール

 

 

股関節が固い方に多く見られるのが膝下アンディオールです。

 

アンディオールしたときに膝の向きとつま先の向きがあっておらず、無理にアンディオールしようとするので股関節の外旋角度よりも膝から足首にかけての角度の方が大きく外旋している状態です。

 

この状態ですと膝周辺、足首周辺の関節や筋肉に過度な捻転力が働きケガのリスクが高まってしまいます。

 

 

原因3:無理なポワント立ち

 

 

バレエではポワント立ちやルルべアップなど足関節底屈位(つま先立ち)が非常に多くなります。当然のことですが足関節は背屈位(通常の立位)で安定する構造となります。

 

つま先立ちでは足関節が安定しない構造なのですが、バレエではつま先立ちで安定させ保持しなければいけないという特殊な能力を必要とされます。

 

その結果、必然的に足部周辺の筋肉や軟部組織がオーバーユース(使い過ぎ)になってしまい様々な下肢の機能障害を引き起こしてしまいます。

 

 

 

原因4:骨盤の後傾/過度な前傾

 

 

骨盤が前傾傾向の方は大腿直筋(太ももの前側の筋肉)が緊張傾向にあり、重心が前方へ移動しやすいので、ふくらはぎ、アキレス腱、足裏の筋が緊張しやすくなります。

 

骨盤が後傾傾向の方はハムストリング(太ももの後側の筋肉)が緊張傾向にあり、重心が後方へ移動しやすいので、前脛骨筋、長母指伸筋などスネの前の筋肉が緊張しやすくなります。

 

重心は仙骨(骨盤の中心の骨)のやや前方にあることが理想的で、骨盤の傾きから重心が前後に大きく移動していますと膝下の筋肉、足関節周囲の筋肉や軟部組織がオーバーユース(使い過ぎ)になりやすく下肢の機能障害が起こりやすい傾向にあると言えます。

 

 

原因5:体幹が弱い

 

 

体幹(腹部インナーユニット)とは腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群、多裂筋などのお腹周りのインナーマッスルのことを言います。

 

腹部インナーユニットの役割は体幹の安定と保持になります。ではなぜバレエによる下肢機能障害が腹部インナーユニットの低下と関係があるのかを考察します。

 

バレエではつま先立ちで安定させ保持しなければいけないという特殊な能力を必要とされるため「お腹を引き上げる」という表現がよく使われます。

 

結論から言いますとお腹を引き上げることで腹部インナーユニットが働き体幹が安定します。その結果身体のブレが無くなりますので足部への負担が減少します。

 

逆に腹部インナーユニットが弱く体幹が安定しない方は、身体のブレが大きくなりますので足部の筋肉がそのブレを補正しようと働きすぎてしまいオーバーユース(使い過ぎ)になりやすく下肢の機能障害が起こりやすい傾向にあると言えます。

 

下肢の機能障害、足の痛み症状別の説明

 

三角骨障害

 

【三角骨障害とは】

三角骨障害とはアキレス腱の奥、内果(内くるぶし)の後方に足首を底屈する動作で痛みが出現します。

バレエでは甲を高く出したりポアントで立ったりと、足首を底屈する動作が非常に多いために発症しやすい障害となります。

 

【三角骨障害の原因】

三角骨とは距骨(足首の中心にある骨)の後ろにある過剰骨(なくても良い骨)のことで約12%の人にあるとされています。

足首を底屈する動作によりこの三角骨が距骨(足首の中心にある骨)、脛骨(スネの骨)、踵骨(かかとの骨)、に挟まれることにより痛みや詰まり感が発症します。

 

 

長母指屈筋腱炎

 

【長母指屈筋腱炎とは】

長母指屈筋腱炎とは三角骨障害と同様にアキレス腱の奥、内果(内くるぶし)の後方に足首を底屈する動作で痛みが出現します。

 

【長母指屈筋腱炎の原因】

つま先立ち、足首を底屈する動作により足首の後方部分で長母指屈筋腱などの軟部組織が挟み込まれることにより痛みや詰まり感が発症します。

 

三角骨障害と長母指屈筋腱炎を引き起こす原因はほぼ同じですが、三角骨自体に痛みの原因がある場合は三角骨障害、筋肉などの軟部組織に原因がある場合は長母指屈筋腱炎と理解して下さい。

 

 

アキレス腱炎

 

【アキレス腱炎とは】

アキレス腱、又はアキレス腱周囲に痛み、腫脹、熱感などを伴う使い過ぎによる炎症症状です。

 

【アキレス腱炎の原因】

ポアントで立ったりルルべアップの時にふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)が強く収縮してアキレス腱に痛みを引き起こします。

 

 

足底腱膜炎

 

【足底腱膜炎とは】

足底腱膜の変性による足底から踵部にかけての痛み。起床時の一歩目が痛いという特徴があります。

 

【足底腱膜炎の原因】

硬い床の上でジャンプやプリエなど足底の筋肉を酷使するバレエは足底腱膜炎になるリスクが高いと考えます。過回内足、ふくらはぎやアキレス腱が固い方は更に発症リスクが高まります。

 

 

有痛性外脛骨

 

【有痛性外脛骨とは】

外脛骨とは舟状骨の内側にある過剰骨(なくても良い骨)のことで約15%の人にあるとされています。

外脛骨には後脛骨筋が付着しており、後脛骨筋の緊張により牽引ストレスがかかり痛みを生じます。

 

【有痛性外脛骨の原因】

つま先立ちの多いバレエでは後脛骨筋が緊張しやすく有痛性外脛骨のリスクが高まります。

 

更に内側縦アーチの減少している過回内足、偏平足の方は更に発症リスクが高まります。

 

 

シンスプリント

 

【シンスプリントとは】

すね(脛骨)の内側の中央部分から下1/3部分に筋肉や骨膜の炎症を伴う痛みが生じます。

 

【シンスプリントの原因】

つま先立ちやジャンプ動作の多いバレエではシンスプリントを発症させる筋肉(後脛骨筋、長趾屈筋、長母指屈筋、前脛骨筋、ヒラメ筋)のオーバーユースになりやすいです。

そして過回内足、偏平足の方はシンスプリントになりやすいという強いエビデンスがあります。

 

 

オスグッド病

 

【オスグッド病とは】

太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の過度の収縮により、膝のお皿の下の盛り上がった部分(脛骨結節)に牽引ストレスがかかり炎症を伴う痛みが発生します。

 

10~15歳の成長期の子供に発症する疾患です。

 

【オスグッド病の原因】

バレエでは足を高く上げる動作やプリエなどでアンディオールがうまくできていない場合、過剰に太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を使ってしまうことがありこのような方はリスクが高まります。

また、繰り返しのジャンプ動作でも大腿四頭筋のオーバーユースになりやすくリスクが高まります。

 

 

鵞足炎

 

【鵞足炎とは】

鵞足とは膝の下内側で膝を曲げる筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋)が付着する部分です。膝を曲げる動作を過剰に行うことで炎症を伴う痛みが発生します。

 

【鵞足炎の原因】

バレエでは股間節が固い方や過回内足の方などはニーントゥーアウト(膝を曲げる動作時に膝が内側へ入り込み、つま先が外を向く姿位)になりやすく鵞足部に牽引ストレスが発生し鵞足炎を引き起こすリスクが高まります。

 

 

腸脛靭帯炎

 

【腸脛靭帯炎とは】

太ももの外側にある腸脛靭帯が大腿骨外側上顆部で摩擦し炎症を伴う痛みが発生します。

 

【腸脛靭帯炎の原因】

バレエでは股間節が固い方や過回内足の方などはニーントゥーアウト(膝を曲げる動作時に膝が内側へ入り込み、つま先が外を向く姿位)になりやすく腸脛靭帯に過剰な摩擦が発生し腸脛靭帯炎を引き起こすリスクが高まります。

 

 

外反母趾/内反小趾

 

【外反母趾とは】

外反母趾とは母趾が小指側に捩じれながら曲がる変形のことで、内反小趾とは小趾が外反母趾とは逆の方向に変形をすることを言います。

 

【外反母趾の原因】

バレエシューズやトゥシューズはつま先を圧迫してしまい外反母趾/内反小趾のリスクが高まります。そして、過回内足、偏平足は外反母趾/内反小趾を助長します。

 

 

股関節周囲炎

 

【股関節周囲炎とは】

股関節周りの筋肉(腸腰筋、殿筋群、大腿直筋など)のオーバーユースにより痛みを生じます。急性期の痛みや慢性痛など症状は様々です。

 

【股関節周囲炎の原因】

バレエでは股関節の外旋(アンディオール)、外転、屈曲、伸展など股関節の可動域を最大限に使います。

 

ですので股関節周囲の筋肉がオーバーユースを起こし、牽引ストレスによる痛みや、軟部組織が挟み込まれることにより痛みや詰まり感(インピンジメント)が発症します。

 

 

当院の下肢機能障害、足部の痛みの治療方法

 

股関節調整

 

無理にアンディオールをしようとすると下肢の様々な筋肉がオーバーユースとなり痛みの原因となってしまいます。

整体手技で股関節の可動域を広げることによりアンディオールがしやすくなります。その結果オーバーユースになりづらくなり根本改善へ繋がっていきます。

 

 

足関節、足根骨のアライメント調整

 

足裏の骨は26個もの数がありそれぞれが関節を構成しております。

 

バレエでは足首から下の部分を非常に酷使しますのでアライメント(骨の配列)が歪んでいたり、動きが悪くなっていたりします。

 

整体手技によりアライメントの調整を行っていきます。

 

 

高濃度酸素オイルマッサージ

 

O2クラフトという高濃度酸素オイルを使用したマッサージを行っております。

 

酸素が筋肉の疲労物質である乳酸を水と炭酸ガスに分解します。

 

乳酸が分解されると筋肉が正しく動くようになり血流が改善され、リンパの流れも良くなるので患部の治癒が促進されます。

 

 

患部への鍼治療

 

鍼治療は痛みを軽減する効果があり多くの研究結果が報告されております。その中の一つに末梢性オピオイド鎮痛効果というメカニズムがあります。

 

局所に炎症が起こると痛みを抑制する物質の「オピオイドペプチド(モルヒネ様物質)を含む免疫細胞」が炎症部位に集まってきます。

 

その部位に鍼刺激をすることによって免疫細胞からオピオイドが放出され痛みを脳に伝える神経路をブロックし炎症部位での鎮痛作用が起こります。

 

その他にも鍼治療にはゲートコントロール説、下行性疼痛抑制系、アデノシンA1受容体による鎮痛など様々な鎮痛機序があります。

 

 

スーパーライザー光線治療

 

スーパーライザーは全ての国立大学や多くのペインクリニックに導入されている安全で副作用のない最新のレーザー光線治療機器で関節、筋肉、神経などの深い部分へアプローチすることができます。

 

痛みのある場所は血管が収縮して発痛物質や老廃物が多く存在しますが、痛みのある場所にスーパーライザーを照射すると血管が拡張され発痛物質や老廃物が減少します。

 

その結果として損傷部位の痛みを軽減させ治癒を促進します。

 

 

ピラティスエクササイズ

 

小学高学年から中学生位の年代に多く見られるのが股関節の柔軟性は高いが体幹(腹部のインナーユニット)の筋力が弱いことで、

 

このような状態ですと、身体を引き上げる力が弱いため腰部、股関節から足部にかけての負荷が強くなり下肢障害や足部の痛みに繋がりやすいです。

 

ピラティスで体幹が安定してくると身体を引き上げる力がしっかりと働き下半身への負荷が軽減され下肢障害や足部の痛みの根本改善に繋がっていきます。

 

 

足部矯正用のインソール治療

 

下肢障害や足部の痛みの引き金の大きな要素として足部の過回内(オーバープロネーション)があります。

 

痛みの連鎖として以下のような流れになりやすいです。

【足部の過回内 ⇒ ニーントゥーアウト ⇒ 下肢の筋肉や足部の筋肉のオーバーユース ⇒ 下肢障害、足部の痛み】

 

この痛みの連鎖を断ち切るには足部矯正用のインソール治療は非常に有効と考えます。

 

 

治療法のまとめ

 

上記に記載した治療法の中から患者様の症状に効果的なものを選択して行っていきます。

 

足部矯正用のインソールはご希望の方のみご提案させて頂きます。

 

しっかりと患者様とコミュニケーションを取りながら治療計画を立てていきますのでご安心ください。

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